▶︎ フルIB教育。クアラルンプールの中でも稀有な学校。IGB インターナショナルスクールって?
- 管理人
- 3月21日
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更新日:3月21日
マレーシアはご存知のようにその歴史的な生い立ちからイギリス式の教育プログラムのインターがほとんどです。その中で、日本人のご家族の興味が高いIBプログラムを幼少から卒業まで一貫して提供する稀有な学校、IGBインターナショナル校にお邪魔しましたでのレポートします。


場所はバンダースリ・ダマンサラというところにあり日本人人気の居住区モントキアラやデサパークシティからは車で15~20分の距離にあります。
IGBインターナショナルスクールの概要
IGBインターナショナルスクール(IGBIS)は、マレーシアのクアラルンプールに位置する国際的な教育機関であり、国際バカロレア(IB)プログラムを全面的に採用している数少ない学校の一つです。540名の生徒が在籍しており、マレーシア国内生徒と世界各国から集まる国際生徒が共に学ぶ多文化な環境が特徴です。
学校の特徴
IGBISは、幼稚園(Early Years)から高校(Grade 12)までの一貫したIB教育を提供しています。特にDP(ディプロマ・プログラム)やCP(キャリア関連プログラム)に力を入れており、将来の大学進学やキャリア形成に向けた実践的な学びを重視しています。IBの全プログラム(PYP、MYP、DP、CP)を提供している数少ない学校の一つであり、生徒は自分の目標に合わせた学習経路を選択できます。

施設と学習環境
キャンパスは最新の設備を備えており、開放的で壁のない設計が特徴的です。特にIBプライマリーの教室は、柔軟な学習環境を提供するために壁を排除し、学年やクラスを超えた協働学習が可能になっています。図書館、科学実験室、アートスタジオ、体育館、屋内プール、演劇用の劇場など、多様な施設が整備されています。
さらに、スポーツや芸術にも力を入れており、生徒たちはバスケットボール、サッカー、水泳、演劇、音楽といった幅広い課外活動に参加できます。これにより、単なる学力の向上だけでなく、自己表現やリーダーシップのスキルを養うことができます。
IGBインターナショナルスクールの学習環境
IB(国際バカロレア)を提供するIGBインターナショナルスクールは、学習環境の設計において従来の学校とは大きく異なる特徴を持っています。特にIBプライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP)では、教室の物理的な設計から学習の進め方まで、すべてが探究型学習と協働作業を促進するために構築されています。本記事では、IGBインターナショナルスクールの学習環境について詳しく紹介します。
壁のない開放的な教室設計
IGBインターナショナルスクールのPYP(プライマリー・イヤーズ・プログラム)の教室は、伝統的な「クラスルーム」という概念を超えた、開放的な学習空間になっています。一般的な学校では、教室が壁で仕切られ、クラスごとに閉じられた環境で学習が行われますが、IGBの教室には明確な壁がなく、学年やクラスの枠を超えたインタラクションが可能です。
この設計の目的は、子どもたちが自由に移動し、他のクラスの生徒や教師と協力しながら学ぶことができる環境を作ることにあります。特に、PYPの学びの基本となる探究型学習(Inquiry-Based Learning)を促進するために、物理的な壁を取り払うことで、よりオープンな思考や議論が生まれやすくなります。
また、開放的な学習環境は、異なる学年やクラスの生徒同士が自然に交流し、異年齢間の学びが生まれる機会を増やします。例えば、年上の生徒が年下の生徒に教えることで、リーダーシップスキルやコミュニケーション能力を高めることができるのです。

生徒の多様性と国際性
IGBISには、多様な国籍の生徒が在籍しており、学校全体が多文化的な環境となっています。国際バカロレアの理念に基づき、異文化理解や国際的な視点を育むことを重視しています。
また、英語が得意でない生徒のために、新設されたIEAP(Intensive English as an Additional Program)プログラムも提供されています。このプログラムでは、英語力を強化しながら、通常のIBカリキュラムにスムーズに移行できるようサポートが行われます。

IEAPは5グレードに細分化されて設定されており、各クラスは15人程度の生徒が所属します。近年英語のサポートクラスが定員一杯で入学ができない状況が増えている中、IGBではこのクラスを倍に増やす計画を立てています。英語の苦手な生徒さんを幅広く受け入れるための積極的かつ戦略的な施策と言えます。
IGBインターナショナルスクールのIEAPプログラム:
英語サポートと通常クラスへの移行プロセス
IGBインターナショナルスクール(IGBIS)では、英語を母国語としない生徒のために、IEAP(Intensive English as an Additional Programme)というプログラムを提供しています。これは、英語力が不十分な生徒がスムーズにIBカリキュラムに適応し、通常クラスへ移行できるように設計された特別な英語強化プログラムです。
1. IEAPプログラムの目的と概要
IEAPは、英語力の向上を目的とした集中的なサポートプログラムです。IGBISでは、IB(国際バカロレア)の厳しいカリキュラムに対応するためには、高度な英語運用能力が求められます。しかし、国際的な環境にあるIGBISでは、すべての生徒が入学時点で十分な英語力を持っているわけではありません。そのため、IEAPは以下のような目的を持って運営されています。
英語の基礎力向上:読む・書く・聞く・話すの4技能をバランスよく強化。
IBカリキュラムへのスムーズな移行:学習内容に関する語彙やアカデミックな文章作成能力の習得。
生徒の自信向上:英語でのコミュニケーションを円滑にし、通常クラスへの適応を促進。
国際的な環境への統合:多文化環境での学びをスムーズにし、他の生徒との交流を促進。
2. IEAPのカリキュラムと学習内容
IEAPのカリキュラムは、各生徒の英語レベルに応じて設計されており、個別指導と少人数クラスを活用した柔軟な学習環境を提供しています。
英語スキル強化
語彙力の強化
文法の理解と実践
発音とリスニングの向上
ライティングスキルの強化(エッセイ、レポート作成など)
スピーキングとプレゼンテーション能力の向上
学科サポート
英語での数学・科学・社会科目の学習サポート
IBカリキュラムに関連するアカデミックライティングの指導
課題やプレゼンテーションの準備サポート
3. 通常クラスへの移行プロセス
IEAPに参加した生徒は、一定の基準をクリアすることで、通常のIBプログラムへと移行することができます。そのプロセスは以下のように進められます。
1. 初期評価(入学時)
生徒の英語力を測るために、リーディング、ライティング、スピーキング、リスニングの4技能テストを実施。結果に基づいて、どのレベルのIEAPクラスに入るべきかが決定されます。
2. 学習計画の作成
英語教育の専門家が、生徒一人ひとりに適したカリキュラムを作成し、短期および長期の目標を設定します。
3. 定期的な評価とフィードバック
生徒の進捗を確認するために、定期的なテストや教師からのフィードバックを実施。通常クラスへの移行が可能かどうかを判断します。
4. 通常クラスへの部分統合
英語力が向上した生徒は、IEAPの授業を継続しながら、一部の通常クラス(例えば、美術、体育、音楽などの科目)に参加し、実際の授業環境に慣れていきます。
5. 通常クラスへの完全移行
全ての移行基準を満たした生徒は、正式にIEAPを修了し、通常のIBプログラムに完全に移行します。

IBが本格的に国際的にも認められ、また多くの日本人ご家庭によって支持されているプログラムである、その訳について少し記述を加えます。
IBプログラムは世界的に認知された教育システムであり、批判的思考、探究心、国際的視野を育むことを目的としています。IGBISでは、Primary Years Programme(PYP)、Middle Years Programme(MYP)、Diploma Programme(DP)、そしてCareer-related Programme(CP)の4つのIBプログラムを提供しています。
IBプライマリープログラム(PYP)
IGBISのPYPは、幼児から小学5年生までの生徒を対象とし、探究を中心とした学習を行います。特に注目すべきは、教室の作りです。IGBISのPYP教室は、開放的で壁がない構造になっており、生徒同士が自由にコミュニケーションを取りながら学ぶ環境が整っています。この設計は、生徒が自主的に学ぶ姿勢を育むことに貢献しており、固定された教科書学習ではなく、実生活に根ざしたテーマを探求するカリキュラムが特徴です。
IBミドルイヤーズプログラム(MYP)
MYPは、中学1年生から高校1年生にあたる年齢の生徒を対象とし、PYPで培った探究心をさらに深めるカリキュラムとなっています。MYPでは、各教科を横断的に結びつける「概念的理解」に重点が置かれ、単なる暗記ではなく、知識を応用する力を育てます。また、パーソナルプロジェクトと呼ばれる自主研究プロジェクトがあり、生徒は自らの興味関心に基づいてテーマを設定し、1年間をかけて研究を行います。
グループワークとディスカッションを重視した学習方法
IGBインターナショナルスクールでは、個人の座学的な学習よりも、グループワークやディスカッションを重視しています。IBの教育理念の根幹には「生徒主体の学び」があり、教師が一方的に知識を伝えるのではなく、生徒同士が積極的に意見を交換し、協力しながら学ぶスタイルが推奨されています。
例えば、授業の一環として行われる「ユニット・オブ・インクワイアリー(Unit of Inquiry)」では、特定のテーマについて生徒がチームを組み、リサーチや実験、プレゼンテーションを通して学びを深めていきます。このプロセスでは、情報収集、分析、ディスカッション、意見の発表といったスキルが養われ、将来的に必要となる批判的思考力や問題解決能力が身につきます。
また、教師はファシリテーターとしての役割を果たし、生徒が自ら考え、答えを導き出す手助けをします。このアプローチによって、生徒は単なる暗記ではなく、「なぜそうなるのか」「どのように応用できるのか」といった深い理解を促進することができます。
柔軟な学習スペースと最新の設備
IGBインターナショナルスクールの学習環境のもう一つの特徴は、柔軟な学習スペースの活用です。オープンスペースの中には、以下のような学習環境が整備されています。
コラボレーションエリア:グループワークやディスカッションに適したスペース。
静寂ゾーン:読書や個別学習ができる落ち着いた空間。
デジタルラボ:最新のICT設備を備えたエリアで、オンラインリサーチやプレゼンテーションの準備が可能。
プレゼンテーションスペース:生徒が学んだことを発表するためのステージやスクリーンが用意されている。
このように、目的に応じた学習スペースが設けられているため、生徒たちはその日の活動や学習スタイルに合わせて最適な環境を選択することができます。


中等教育を終えた学生たちは最終の高等教育に入っていきます。
ここで生徒たちはIBディプロマ、CPプログラム、ハイスクールIBと選択が分かれます。
ハイスクールIBは高校卒業の資格ですが、それに加え、IBディプロマもしくはCPプログラムを選考することにより、その先の進学選択肢がさらに有意義なものとなっていきます。
IBディプロマプログラム(DP)
IB(国際バカロレア)のディプロマプログラム(DP)は、16歳から19歳の生徒を対象とした2年間のカリキュラムであり、世界的に認知された大学進学資格を取得することができます。IGBインターナショナルスクール(IGBIS)では、DPを提供しており、学生が学問的に優れた成績を収めるだけでなく、自己管理能力や批判的思考、国際的な視野を育むことを目的としています。
■ DPのカリキュラム構成
DPのカリキュラムは、以下の3つのコア要素と6つの教科グループで構成されています。
1. DPの3つのコア要素
1. 知識の理論(Theory of Knowledge, TOK) 生徒が「私たちはどのように知識を得るのか?」といった問いに対して批判的に考える力を養う科目です。異なる知識の分野(自然科学、社会科学、芸術など)を横断的に学びながら、知識の本質について深く考察します。
2. 課題論文(Extended Essay, EE) 生徒が自分の興味のある分野について4,000字の学術的な論文を執筆する課題です。このプロセスを通じて、研究能力、自己管理能力、論理的思考力を養います。
3. 創造性・活動・奉仕(Creativity, Activity, Service, CAS) 学問以外の活動に参加することが求められます。たとえば、アート、スポーツ、ボランティア活動などを通じて、社会貢献や個人的成長を図ります。
2. 6つの教科グループ
DPの学生は、以下の6つの教科グループの中から各1科目ずつ選択し、そのうち3科目をハイヤーレベル(HL)、3科目をスタンダードレベル(SL)で履修します。
1. 言語と文学(Language and Literature)
o 母国語(英語、日本語など)の文学や言語を学び、批評的読解力と表現力を養います。
2. 言語習得(Language Acquisition)
o 外国語(フランス語、スペイン語、中国語など)を学び、国際的なコミュニケーション能力を向上させます。
3. 個人と社会(Individuals and Societies)
o 歴史、経済学、地理、心理学、ビジネスなどの社会科学系科目を学びます。
4. 理科(Sciences)
o 生物、化学、物理、環境システムなどの理系科目を履修します。
5. 数学(Mathematics)
o 応用数学、数学解析などの異なるレベルの数学を選択できます。
6. 芸術(The Arts)
o 美術、演劇、音楽などの芸術系科目を選択できます。
IGBISのDPプログラムの特徴
IGBISのDPプログラムは、世界水準の教育を提供するだけでなく、以下のような独自の特徴を持っています。
1. 少人数制の授業
o クラスの生徒数が少ないため、一人ひとりに対する指導が手厚く、個別の学習ニーズに応じたサポートを受けることができます。
2. 経験豊富な教師陣
o IGBISのDP担当教員は、IBのカリキュラムに精通しており、生徒が最適な学習成果を得られるように指導します。
3. 大学進学サポート
o DP取得後の大学進学をサポートするために、IGBISでは進路指導専門のスタッフが常駐し、各生徒に合った大学選びや出願手続きをサポートします。
4. 最先端の設備とリソース
o 科学実験室、アートスタジオ、音楽スタジオ、スポーツ施設など、充実した環境で学ぶことができます。
■ DPの評価と最終試験
DPの評価は、各科目の内部評価(IA: Internal Assessment)と、最終試験(External Examination)によって行われます。
· IA(内部評価): エッセイ、研究レポート、プレゼンテーションなど、授業内での評価を含みます。
· 最終試験: IBO(国際バカロレア機構)が実施する試験で、DP修了時に受験します。
各科目の評価は1~7のスコアで採点され、最大得点は45点(6科目×7点 + コア要素3点)です。一般的に、世界の名門大学は36点以上のスコアを求めることが多く、IGBISでは高得点を目指せるような学習環境が整っています。
次にIGBISのユニークポイントであるCP(キャリア関連プログラム)について記述します。

IBキャリア関連プログラム(CP)
IGBインターナショナルスクール(IGBIS)は、マレーシアで唯一IBのキャリア関連プログラム(CP)を提供している学校です。CPは、実践的なキャリア志向の教育とIBの学問的厳密さを組み合わせたプログラムであり、特定のキャリアに直結するスキルを学びながら、高等教育への道を開くことができます。
■ CPプログラムの概要
CPは主に11年生と12年生を対象としており、学生は以下のようなカリキュラムを履修します。
1. IBディプロマ科目(DP Courses)
o 学生は最低2科目、最大3科目のDP科目を選択します。これにより、学問的な基盤を確保しながら、キャリア志向の学習と組み合わせることができます。
2. キャリア関連科目
o 学生は提携大学と連携した専門分野のオンライン講義を受講し、実践的なスキルを習得します。現在、IGBISのCPプログラムは以下の大学と提携しています。
§ Savannah College of Art and Design(SCAD・米国)
§ Embry-Riddle Aeronautical University(エンブリー・リドル航空大学・米国)
§ Sustainability Management School(ビジネススクール・スイス)
§ Arizona State University(アリゾナ州立大学・米国)
§ World Academy of Sports(スポーツアカデミー・英国)
3. パーソナル&プロフェッショナルスキル(PPS)
o CPの中心的な科目であり、コミュニケーション、リーダーシップ、問題解決、批判的思考、倫理的判断などのスキルを育成します。
4. 言語開発(Language Development)
o 学生は母語以外の言語を学び、多文化的な視点を養います。
5. サービス・ラーニング(Service Learning)
o 学生は地域社会に貢献するプロジェクトに参加し、実社会での応用力を高めます。
6. リフレクティブ・プロジェクト(Reflective Project)
o キャリア関連の倫理的課題について深く考察し、論文としてまとめます。
CPのメリット
CPは、大学進学と職業準備の両方に適した柔軟なプログラムです。
· 大学進学: CPで取得した単位は、特定の大学での単位認定や編入が可能です。
· 職業準備: 実践的なスキルと業界のネットワークを活かし、卒業後すぐに職業に就くことも可能です。
IGBISは、CPプログラムを通じて、生徒一人ひとりのキャリアの選択肢を広げ、将来の成功に向けた基盤を築くことを目指しています。

まとめ
IGBインターナショナルスクールの学習環境は、従来の学校とは異なり、壁のない開放的な設計を採用し、探究型学習と協働作業を促進する仕組みが整っています。個人の座学的な学習ではなく、グループワークやディスカッションを通じて、生徒同士が学び合う文化が根付いています。また、柔軟な学習スペースと最新の設備が整っており、生徒は自分に合った学習環境を選択できるという点も大きな特徴です。
このような環境の中で学ぶことで、生徒たちは主体的に考え、協力し合いながら問題を解決する力を身につけることができます。IBの理念に基づいた最先端の教育を提供するIGBインターナショナルスクールは、まさに未来の学びの場としてふさわしい環境を提供していると言えるでしょう。
英語教育においても手厚いサポートが期待できます。しっかりと言語を習得した上で、多種多様な国際的生徒環境のなかで強い個を育てる。クアラルンプールの中でも非常に稀有な教育環境といえるのではないでしょうか?
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