IGCSEは世界への扉
- Yas 
- 9月18日
- 読了時間: 9分
更新日:9月19日

目次
1. はじめに
2. マレーシアのインターナショナルスクールで学べる教育カリキュラム2-1. イギリス式(ケンブリッジ式 / IGCSE → A-level)2-2. IB(International Baccalaureate)2-3. アメリカ式(High School / AP)2-4. カナダ・オーストラリア式(マトリキュレーション / Pre-University)
3. カリキュラムの特徴と大学入試との親和性
4. IGCSE(ケンブリッジ式)の深掘り4-1. IGCSEの必修科目4-2. 選択科目(Electives)4-3. IGCSE取得の流れ・評価方法4-4. 大学進学に向けたTIP
5. まとめ
1. はじめに
マレーシアのインターナショナルスクールを調べていると、必ず目にするのが「British Curriculum(イギリス式カリキュラム)」や「Cambridge Curriculum」という言葉。日本の教育システムに慣れていると、正直「それって何?」「どんな特徴があるの?」と疑問に思いますよね。
実はこのイギリス式カリキュラム、世界中で採用されている超ポピュラーな教育スタイル。世界の70カ国以上、1万校以上の学校が導入していると言われています。マレーシアでもイギリスの植民地であった歴史から、インターナショナルスクールの多くがこの方式を採用していて、子どもの進路選びの大きなカギになるんです。
ただ、ここマレーシアではイギリス式のカリキュラムのほかに、アメリカ式、IB、オーストラリア、カナダといった多国籍なプログラムを学べる学校もあります。
まずは少しだけこの多国籍なシラバス(カリキュラム)についてサマリーした後に、イギリス式のシラバスについて深掘りをしたいと思います。
あくまで一般的な考え方ですので、比較検討をしてみてください。
2. マレーシアのインターナショナルスクールで学べる教育カリキュラム
2-1イギリス式(ケンブリッジ式(IGCSE → A-level))
小学生から中等教育終了まで11年のプログラムです。IGCSE(International General Certificate of Secondary Education)は14〜16歳向けの国際的な中等教育修了資格。2年間の学習の終わりに科目ごとに試験を受け、成績が出ます。多くの国際校で採用され、A-level(16〜18歳)など上級課程へ進むための基礎となります。

2-2 IB(International Baccalaureate Diploma Programme)
国際バカロレア(IB)は、世界中で幅広く認知されている教育プログラムで、幼少期から高校卒業まで一貫して学べる体系的なカリキュラムが用意されています。PYP MYP DPの3部構成で、6(7)年5年、2年制になります。IBDPを卒業すると、全世界の大学へ進学することができます。
- MYPは国際的な資格ではないので、注意が必要。マレーシアの場合は、MYP取得後、SUNWAYが提供するカナディアン(CUP)、オーストラリアンプログラム(AUSMAT)を取得することにより、大学入学資格を取得することができます。 

2-3アメリカ式(High School / AP / Advanced Placement)
5−3−4年の12年生のプログラムです。単位制で科目を多数取ることが可能。APやSAT等で学力を示す。進学は総合的評価(GPA、エッセイ、活動)が重視されます。世界中の大学へ進学できます。

2-4カナダ・オーストラリア式(各州のマトリクレーション / 高等学校卒業資格)
- 12年生のプログラムです、試験及び総合評価の2本立て評価になります。州別のカリキュラム/スコア(例:ATARなど)があり、大学入学はスコアベースになります。マレーシアのいくつかのカレッジはこれらのマトリクルを提供している(例:Canadian Pre-University、AUSMAT)。  - SUNWAYカナディアンプログラム 
3. カリキュラムの特徴と大学入試の親和性
A-level:専門性の深さを重視
IBDP : 幅と深さを両立、バランスよくスキルを伸ばせる
アメリカ式:個人の興味に柔軟、活動重視
カナダ/オーストラリア:州ごとの評価基準、大学への道筋が明確
大学入試との親和性
英国大学(UCAS):A-level が最も直接的。IB も高評価
米国大学:AP/IB/A-levelの成績+SAT/ACT・活動・エッセイ
日本の大学:IBは認知度・評価が高く、A-levelも対応可。CUPやAUSMAT経由で入学条件を整える学校もあります。
それでは、ここからはマレーシアで最も多いイギリス式(IGCSE)について少し深掘りをしてみましょう
4. IGCSE(ケンブリッジ式)の深掘り
まずざっくり:IGCSEって何?
IGCSE(International General Certificate of Secondary Education)は14〜16歳向けの国際的な中等教育修了資格です。2年間の学習の終わりに科目ごとに試験を受け、成績が出ます。多くの国際校で採用され、A-level(16〜18歳)など上級課程へ進むための基礎となります。
4-1 IGCSEで一般的に求められる“必修科目”(Core)
学校やコースによって若干の違いはありますが、標準的には次の科目が必修または強く推奨されます:
- 英語(English) - English First Language(母語向け)または English as a Second Language (ESL / EAL)(母語が英語でない場合) 
- 数学(Mathematics) - 基本はMaths。場合によってはもう1段階上の Additional Mathematics を選択可(数学が得意であれば推奨)。 
- 科学(Science) - Combined Science(2科目分の統合科目)または Separate Sciences(Biology / Chemistry / Physics をそれぞれ選ぶ)。将来 STEM 分野を目指すなら separate を推奨。 
- 第二言語(Language) - 学校によっては母国語(Japanese)の科目を取れる場合あり。中国語(Mandarin)、マレー語なども選べ ることが多い。 
- 人文系(History / Geography) - 学校方針で必修になることがあります。 
実務的アドバイス:最低でも 英語・数学・科学 はしっかり押さえる。特に英語は進路の基盤になります。数学も色々な学科で潰しが効くので、ぜひ押さえておきたい科目。

4-2 選択科目(Electives)
IGCSEの強みは科目選択の自由度です。よく見られる選択肢を列挙します:
- ビジネス(Business Studies) 
- 経済(Economics) 
- 会計(Accounting) 
- コンピュータサイエンス / ICT(Computer Science / ICT) 
- 芸術(Art & Design) 
- 音楽(Music) 
- 演劇(Drama) 
- デザイン&テクノロジー(Design & Technology) 
- 情報科学(Information Technology) 
- 体育(Physical Education) 
- Additional languages(French, Spanish, Mandarin, Malay, Japanese など) 
- Environmental Management 等の専門科目 
必修科目と併せ学校は8科目以上の履修を推奨します。学校では取得に偏りがない様にグループ分けをされ、「各グループから一つづつ選択」といった選び方をさせるケースが多いです。ほとんどの大学の学士課程入学に5つ以上の履修(スコアはC以上)が基準になります。欧米や日本への進学には、IGCSE取得だけでは足りないため、追加のプロセスが必要になります。
選択のコツ:将来の進路(文系/理系/芸術系)に合わせつつ、バランスよく選ぶ。将来 STEM(理系への進学) を目指すなら Separate Sciences + Additional Maths を優先しましょう。
4-3 IGCSEの「取得の仕方」(プロセス/評価方式)
学習期間:通常2年間(学年で言うとYear10–11相当)
試験時期:多くの試験は年1〜2回(主に5〜6月セッション、科目やボードにより11月にも実施)。
評価方法:筆記試験(Written papers) が中心です。
実技/実験(Practical):理科や一部科目では実験や口頭試験、実技課題が含まれることがあります。
Coursework / Controlled Assessment:芸術やデザインなどは作品を評価する要素がある(ただし科目や試験委員会で差あり)。
提出物やプロジェクト が成績に影響する科目もあります。
試験委員会(Exam Boards):代表的なのは Cambridge Assessment International Education (CAIE) と Pearson Edexcel (International GCSE)。採点方式やスケールはボードにより異なります(例:伝統的にCAIEはA*–G、Edexcelは9–1 などの表記があるため、学校で確認を)。
私的受験(Private candidates):公認の試験センターに登録すれば、学校に通っていない生徒でも受験可能です(ただし受験手続き・費用や科目選択に制限がある場合あり)。
読んでいてお分かりいただける様に、基本IGCSEは試験による資格の取得になります。ですので、マレーシアではホームスクールというスタイルも一般的な教育の選択肢になり、IGCSEのテストを自力でパスすることで大学への入学を果たすご家庭も一定数存在します。
4-4 大学へ進むための実践的TIP(IGCSE段階でできること)
IGCSEは大学入学の“直接的資格”ではありません(A-levelやIBが大学向け本番)が、進路の土台を作る重要な時期です。以下は具体的なアドバイスになります。

科目選択の戦略
- 大学で学びたい分野を見据えて科目を選ぶ。 - 医学・薬学:Biology + Chemistry + Mathematics(できればPhysics) 
- 工学/物理系:Mathematics + Physics + Chemistry(Computer Science が有利) 
- 経済/ビジネス:Mathematics + Economics/Business + English 
- 人文学:History/Geography + Languages + English 
 
- STEM志望は Separate Sciences を選ぶ。Combined は入門には良いですが、上位大学の理系選考では separate で評価する場合があります。 
成績と英語力
- IGCSEは高得点(A*/A または上位のグレード)を目標にしてください。これはそのまま A-level での教科選択・成績の予測に影響します。 
- 英語力は必須。EALプログラムを活用して、9年次までには英語を一定のレベルまで伸ばしてください。IBや海外大を目指すならIELTS/TOEFL等のスコア対策も並行して取得し準備ください。 
学習習慣・評価対策
- 過去問(Past papers)で解法と時間配分を鍛える。IGCSEは形式に慣れることが非常に重要です。 
- 実験・実技の記録を丁寧に残しましょう。(Science の practical、Art の portfolio など)。 
- 模擬試験(Mocks)で弱点を早めに洗い出す。学校の予想成績(predicted grades)を待つだけでなく、積極的に模試にトライしましょう。 - 以下はマレーシアの塾の情報です。必要に応じご活用ください。 
■ GL Academy(モントキアラ)
- IGCSE / A-Level / IBDP を扱う塾で、「模擬試験と実証済みの高得点戦略」を掲げています。 
- よって、模擬試験を定期的に実施しており、試験対応のトレーニングを含めて指導があることが確認できます。 
■ ACE Education Malaysia
- IGCSE チュータリングを行っていて、「mock assessments / regular mock exams / past paper practice」を授業プランに組み込んでいるとの記載があります。 
- よってここでも模擬試験が提供されているケースです。 
■ TWINS Education
- IGCSE&A-Level チューションセンターで、「年末に Intensive Workshop Class や Revision Seminar」などを行っており、これは模擬試験的な要素を含む集中講座や復習会である可能性が高いです。 
■ ChemPraxis (Puchong, Damansara など)
- 科学に特化した IGCSE / A-Level チューションセンター。過去問や模擬試験の準備を含めたサポートがあることを標榜しています。実験設備も持っていて、「lab practical」など、実践的な部分の準備も可能。これは模擬試験準備を伴った授業が含まれていることを意味します。 
■ その他:勉強会・オンライン模擬
- 保護者向けの勉強会でIGCSEの仕組みや模擬試験を含めた内容を扱っているものもあります 

進路柔軟性を残す
- 幅広い教科を残しておく:IGCSE段階で極端に選択科目を狭くすると将来選べる進路が狭まる。選択は戦略的に行なってください。 
- 追加資格(Cambridge Checkpoint, Cambridge IGCSE Additional)や短期コースで補強も有効です。 
非学術面の強化
- CCA(課外活動)やボランティア経験を積む:高校以降の志望理由書や面接で評価されやすいです。積極的に広く、貪欲に活動する様にしましょう。 
- 小さくてもプロジェクトや発表経験を作りましょう(学校外のサイエンスフェア、コンテスト、ボランティア等)。リーダーシップも評価の対象です。英語でのコミュニケーション。ディベートなども海外教育の醍醐味と言えるでしょう。 
以上、
これでIGCSEについて概念的に掴めたのではと思います。
IGCSEは中等教育修了資格です。これだけでは大学の学位コースに進学できないので、注意が必要です。IGCSE取得の後は、Aレベルに進み、世界(日本含)中の大学への受験資格を得ることもできますが、マレーシアでは選択肢はその限りではありません。
IGSCEのスコアが5C(5つの科目でC以上)あることで、大学のファウンデーションコースに進んだり、3C以上で短大コースへ進んだり。大学への出口戦略が豊富なところもマレーシアの魅力の一つです。
マレーシアの大学へ進むもよし、そこからさらに高みを目指すのもよし。もちろん日本の大学へ進学することも可能です。大学の出口戦略についてはまたの機会に詳しく掘り下げていきたいと思います。
何か質問があれば、どうぞご遠慮なくLINEや無料相談をお申し込みくださいね。
IGCSE。大丈夫です。英語をしっかりと固めておけば、恐るるに足らず。がんばりましょう!









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